GMEN PRESS

第八回 かし保険躯体検査前後の工事の注意点 ・Ⅳ(耐力壁 後編 面材耐力壁)

面材耐力壁の高倍率仕様の追加(平成30年3月26日国土交通省告示第490号)

軸組工法の場合

木造建築物における面材耐力壁について、高倍率となる仕様が追加されました。

【告示第1100号 軸組工法の主な改正ポイント】
◎ 構造用パーティクルボード・構造用MDFが大臣認定仕様から告示仕様で利用可能
◎ 面材張り大壁胴縁仕様の大壁・受け材仕様(床勝ち)の真壁床勝ち仕様の大壁の4種類の軸組工法が利用可能(これまでなかった受け材仕様(床勝ち)の真壁も耐力壁の対象に)
◎ 合板厚の増加・釘の種類と釘ピッチを改正することで高倍率耐力壁を実現

軸組工法で追加された仕様

告示仕様に追加された構造用パーティクルボード、構造用MDFは最大4.3まで、構造用合板、化粧ばり構造用合板、構造用パネルは従来2.5だった倍率を3.7まで高められました。

軸組工法改正内容(告示1100号別表 国土交通省の資料をもとにハウスジーメンが作成)

■ 面材張り大壁の例

軸組工法で追加となった面材耐力壁の釘について

軸組工法での改正仕様の釘については以下のような条件があります。

◎ 釘ピッチを1/2以下にして高倍率耐力壁とする
従来は150㎜以下ピッチのものを75㎜以下にして高倍率を実現
◎ 構造用合板と化粧ばり構造用合板等を高耐力化する場合必ずせん断力に強いCN50釘を使う
◎ 構造用パーティクルボード又は構造用MDF標準仕様でも高倍率仕様でもN50釘を使用する

面材耐力壁に使用する釘の種類

面材ごとの仕様の確認

構造用パーティクルボード・構造用MDFの場合

新設された構造用パーティクルボードと構造用MDFの場合は、標準仕様も高倍率仕様も釘はN50を使用します。高倍率にするためには、外周部の釘ピッチを1/2の75㎜以下にすることで実現可能です。

構造用パーティクルボード・構造用MDFの仕様の例(出展:日本繊維板工業会)

■ 面材張り大壁の例

■ 新設:受け材(床勝ち)真壁の例

構造用合板・化粧ばり構造用合板・構造用パネルの場合

合板系の壁材の場合は、合板厚さ×釘の強化×釘ピッチ1/2により高倍率仕様となります。
床勝ち(大壁・真壁)仕様の場合は受材の断面と釘ピッチの指定寸法が別途設けられています。

構造用合板耐力壁の高倍率仕様の例(出展:日本合板工業組合連合会)

■ 面材張り大壁の例

■ 受け材(床勝ち)大壁の例

■ 新設:受け材(床勝ち)真壁の例

面材耐力壁のチェックポイント【4】
軸組工法では対応面材が追加。釘ピッチ1/2を基本とし
合板系の面材はさらに釘の強化×板厚拡大で高倍率実現

枠組壁工法の場合

【告示第1541号 枠組壁工法の主な改正ポイント】
 縦枠相互の間隔が500㎜以下に限り、構造用パーティクルボードと構造用MDFを告示仕様に追加
◎ 釘ピッチを縮小して高倍率耐力壁とする
◎ 構造用合板はさらに板厚を拡大かつ長い釘の使用で高倍率可能

枠組壁工法で追加となった面材耐力壁の釘について

枠組壁工法での改正仕様の釘については以下のような条件があります。

◎ CN釘を使用し釘ピッチを縮小して高倍率耐力壁とする
◎ 構造用合板等は、CN50⇒CN65の使用で高倍率化可能

枠組壁工法で追加された仕様

■ 構造用パーティクルボード、構造用MDFの追加仕様詳細

■ 構造用合板の追加仕様詳細

面材耐力壁のチェックポイント【5】
枠組壁工法でも面材追加
合板系の面材では釘ピッチの縮小にプラスして
板厚拡大×長い釘で高倍率を実現できるように

準耐力壁の取り扱いの変更(建築基準法改正2025年4月)

準耐力壁は、存在壁量に算入できるものとして扱われるようになります。

準耐力壁等の
壁量
壁量に算入
しない場合
壁量に算入する場合
必要壁量の1/2以下(注1)必要壁量の1/2超(注1)
存在壁量の
算定
耐力壁のみで
検証
準耐力壁等を算入できる準耐力壁等を算入できる
※柱の折損等の脆性的な破壊の生じないことが確認された場合(注3)に限る。
四分割法耐力壁のみで検証
準耐力壁等は算入せずに検証
準耐力壁等を含めて検証※存在壁量に算入した準耐力壁等が対象
柱頭・柱脚の
接合部
耐力壁のみで検証
準耐力壁等は壁倍率0として検証
※存在壁量に算入した準耐力壁等のうち、壁倍率1.5倍超(注2)のものは当該準耐力壁等の壁倍率で検証
準耐力壁等を含めて検証※存在壁量に算入した準耐力壁等が対象
(準耐力壁等の壁倍率1.5倍以下も対象)

注1) 準耐力壁等と必要壁量の比較は、各階、各方向別に行う。いずれかで必要壁量の1/2を超える場合には、各階、各方向ともに1/2を超えるものとして検証。

注2)複数の準耐力壁等を併用する場合は壁倍率の合計で判断。耐力壁と準耐力壁等を併用する場合は、準耐力壁等の壁倍率で判断(準耐力壁等の壁倍率1.5倍超:耐力壁と準耐力壁等の壁倍率の合計、1.5倍以下:耐力壁のみの壁倍率で検証)。

注3)第三者機関での試験等の結果を踏まえて検証することを想定。

準耐力壁:
木造住宅の住宅性能表示に計上できる壁の一種。
具体的には、上下が横架材に止められていない面材によるもの。

準耐力壁 垂れ壁・腰壁
材料 面材・木ずり等 面材・木ずり等
くぎ打ち 柱・間柱のみにくぎ打ち 柱・間柱のみにくぎ打ち
90㎝以上 90㎝以上かつ2m以下
高さ 横架材間内法寸法の80%以上 36㎝以上
その他 両側に耐力壁または準耐力壁があること
壁倍率面材の準耐力壁等の壁倍率=【材料の基準倍率※】×【0.6】×【面材の高さの合計 / 横架材間内法寸法】
木ずりの準耐力壁等の壁倍率=【0.5】×【木ずりの高さの合計 / 横架材間内法寸法】

出典:「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準(案)の概要」(令和5年12月時点)に関する補足資料(国土交通省)

ただし、準耐力壁等による壁量が少なく、かつ壁倍率も小さい場合は、以下の検討において影響は考慮しません。

  • 壁配置のバランス確認(四分割法)
  • 柱頭・柱脚の接合方法の確認(N値計算法等)

かし保険躯体検査 前後の工事の注意点・Ⅳ (耐力壁後編 面材耐力壁)について告示改正を含め確認しました。耐力壁は建物の強度に大きな影響を与える部分ですが、本来は単体の壁倍率だけを高めるだけではなく、建物内でいかにバランス良く配置するかがとても重要な要素となります。

この耐力壁のバランスについては次回、番外編として現場担当者にもわかる「設計 虎の巻!」としてざっくりとご説明したいと思います。
是非合わせて確認してください♪

では今回のまとめです。

【 資料出典 】

日本繊維板工業会 → ホームページはこちら
【資料】木質資源のリサイクルから生まれる耐震建材 木質ボードの耐力面材

日本合板工業組合連合会 → ホームページはこちら
【資料】構造用合板耐力壁の告示が変わりました

2025年1月16日
Return Top