かし保険躯体検査時 前後の工事の注意点について、今回は土台まわりについて確認していきましょう。
土台まわりのチェックポイント
土台とは
基礎工事が完了すると、次の工程は土台敷きです。
土台とは、基礎コンクリートの上に水平に固定される角材のことで、アンカーボルト等によって固定されます。土台には耐力壁が負担する水平力を基礎へ伝達する役割があり、下部に基礎がなかったり、位置がずれていると構造全体に負荷がかかってしまいます。
施工中のタイミングでのかし保険検査はありませんが、自主検査として作業は慎重に進めていきましょう。
土台施工上の注意点…建築基準法施行令条文第42条
木造建築の場合、構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、原則として土台を設けなければなりません(ただし、当該柱を基礎に緊結した場合又は平家建ての建築物で足固めを使用した場合を除く。地盤が軟弱な区域として特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内においては、当該柱を基礎に緊結した場合に限る)。
また、土台は基礎に緊結しなければなりません(ただし、前項ただし書の規定によって指定した区域外における平家建ての建築物で延べ面積が五十平方メートル以内のものを除く)。
土台の寸法について
かし保険では土台の断面寸法の規定はありませんが、住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書によると柱の小径以上の断面寸法が必要とされ、柱と同じ寸法以上かつ105mm×105mm以上とし120mm×120mmが標準とされています。
通柱、管柱が120mm×120mmでしたら、土台も同じ寸法で120mm×120mmが一般的です。
◆ 検査項目:「土台の設置状況」にて不適合になる施工状況
土台まわりのチェックポイント①
- 柱の下に土台はあるか 土台は基礎に緊結しているか
施工の実際
準備作業
現場に搬入される土台や大引などは、プレカット工場で予め加工する場合、「い1」というような記号が材料に記載されます。材料と一緒に持ち込まれたプレカット図を見て、材料との照合をします。ここで材料の欠損等がないかもしっかりと確認しましょう。
次に、基礎の天端に墨を打っていきます。中央部にはアンカーボルトが来るので、墨芯は基礎天端の中央からずらして打ち、ねこ土台(基礎パッキン等)工法を採用するなら、ねこ土台の設置を終えた後にプレカット図を見ながら土台や大引を設置位置へ置いていきます。
ひと通り所定の位置へ並べ終えてから再度間違いないか図面と照合しましょう。
土台まわりのチェックポイント②
- 材料はプレカット図どおりに正しく搬入されているか。
- 墨の位置は適切か。
土台:基礎の上にのせて柱を受けるための部材
大引:床板・根太などを受けるための部材で、土台・束などで支持されているもの。主に1階床に使われている。なお1階床でも束などで中間部を支持されていない1間以上の部材は梁となる。
ねこ土台(基礎パッキン等)工法について
ねこ土台(基礎パッキン等)工法とは床下と外部の換気を目的として、ねこ土台という樹脂や金属の素材を基礎の天端と土台の間に設置する工法のことです。
以前は、基礎に換気口(長方形の穴)をあけて換気していましたが、今はこちらが主流となっています。ねこ土台(基礎パッキン等)工法を採用することで、床下換気口を作る必要がないため、見た目がスマートで、デザイン性が高い家づくりが可能となりました。
また、従来では難しかった建物の隅にも通気性を確保できるので、家の隅に発生しがちなカビや結露を防止できます。
ねこ土台にはロングタイプとショートタイプがあります。
最近は施工が簡単なロングタイプが主流で、基礎外周に敷き込み、通気を確保します。ショートタイプのねこ土台はメーカーの施工基準に準じたピッチで敷きこみ、柱の下や土台継手の直下には必ず設置しましょう。ねこ土台がずれることのないようにアンカーボルトはねこ土台の穴に通して施工することが大切です。
【ねこ土台(基礎パッキン等)の設置】
- ロングタイプは基礎の外周や内周に設置が必要。
- ショートタイプの場合、柱の直下や土台継手部分には必ず設置しアンカーボルトは穴に通して施工する。
- 土台からはみ出さないように設置する。
- ねこ土台の設置間隔は、メーカーの施工基準に準じて施工する。
◆ 検査項目:「ねこ土台(基礎パッキン等)の設置状況」で不適合となる施工状況
土台まわりのチェックポイント③
- 利用するねこ土台(基礎パッキン等)の種類に合わせて適切に施工する
アンカーボルトの設置について
土台を基礎に緊結するにはアンカーボルトを使います。
アンカーボルトは基礎コンクリートの打設時などにも確認していますが、ここでも設置位置の照合から始めます。位置がずれている場合などには、その影響(構造的な問題の有無)を検討し、問題がある状態ならば対処方法を考えなければなりません。
基礎時点でのアンカーボルト設置についてはこちらをもう一度ご確認ください。
アンカーボルトの設置状況
まずボルトが曲がったり斜めになって設置されていないか、設計図書通りの金物や締め付け状況であるかを確認しましょう。
普通ボルトの場合、ねじ山はねじを締め付けたときにナット天端より3山以上出す必要があるので、ボルトの余長を確保しておきます(住宅金融支援機構仕様書より)。剛床の場合は土台から出ないように座堀りをします。
また、ホールダウン金物用アンカーボルトは取付位置を全数目視し、さわってゆるみがないかも確認しましょう。
アンカーボルトの設置位置
アンカーボルトの設置状況は躯体検査の時の指摘事項に当たります。特に継手部分の設置状況については、不備指摘箇所として多く挙がる部分です。
土台設置の時点では設置ルールに沿って柱からの距離や継手位置とのからみ等、図面を確認しながら正確に設置していきましょう。
【アンカーボルトの設置ルール】
- 筋かいを設けた耐力壁の部分は、その両端の柱の下部にそれぞれ近接した位置に設置する。
⇒地震や風の水平力で土台が引き抜けるのを防ぎます。 - 土台継手の上木(雄側)端部の位置に設ける。
⇒上から押さえ込んでしまえば両方固定できます。 - 出隅・入隅については、柱に近接した適切な位置に設ける。
⇒材料の両端にアンカーボルトを入れると土台が回転してズレるのを防ぎます。 - アンカーボルトの設置間隔に注意する。
⇒2階建て住宅の場合は、一般的には基礎長さ2.7m以内(1.5間)ごとに設置します。
(参照:住宅金融支援機構 木造住宅工事仕様書)
◆ 検査項目:「基礎への緊結状況」に該当する事例
土台まわりのチェックポイント④
- 土台の継手部分は部材が安定する設置方法になっているか
最終確認
ここまでの作業が完了したら、最後に、土台や大引の水平、高さ、巾も忘れずにチェックしておきましょう。
土台まわりのチェックポイント⑤
- 土台や大引の水平、高さ、巾は正確か
さて、今回はかし保険躯体検査 前後の工事の注意点・Ⅰとして、土台やアンカーボルトなどについてご説明しました。
この後の躯体検査で手戻りがないようしっかりと工事を進めていきましょう。
では今日のまとめです。
次回はかし保険躯体検査 前後の工事の注意点・Ⅱ 柱と耐力壁についてご説明いたします。
どうぞお楽しみに♪
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