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第四回 かし保険基礎配筋検査前後の工事の注意点(後編)

第四回 かし保険基礎配筋検査前後の工事の注意点(後編)


前回の施工 虎の巻!に引き続き、かし保険基礎配筋検査時前後の工事の注意点について、今回は基礎配筋時の開口部廻りの補強筋と、アンカーボルトまでを確認していきましょう。

基礎配筋廻りのチェックポイント(2)

補強筋について

配筋廻りのチェックポイント④ 補強筋
孔や開口部廻りはしっかり補強されているか

基礎に断面欠損がある箇所は、どうしても強度が弱くなってしまいます。そのような箇所は補強筋で強度補強をする必要があります。
例えば、基礎の立上りに換気口や人通口がある場合、さらに配管のスリーブがあるところにも同様に補強が必要です。
(小規模建築物基礎設計指針には径60㎜以上の貫通口には径10㎜の補強筋で補強する事例あり
補強筋の設置については鉄筋コンクリート造の場合、一般的に鉄筋コンクリート構造標準仕様書および配筋標準図を基に監理するのですが、木造ではそのような図面がありません。
それぞれの現場ごとで、構造計算による方法やベタ基礎配筋表の利用、または設計者の工学的判断や施工業者の経験値など様々な判断が行われるため、仕様や施工方法がその都度異なります。
現場に合わせて臨機応変に状況を確認していきましょう。

床下換気口と人通口の補強筋について

基礎立上り部分の換気口は、建設省告示1347号に「径9㎜以上の補強筋を配置すること」と規定されていますが、人通口についての規定はありません。しかし、同告示には「土台の下にあっては、連続した立上りを設けるものとすること」と規定されているため、人通口周辺部には「連続した立上り」とみなせるよう、設計者等の判断により、適切に補強を行いましょう。

■ 床下換気口の補強筋

■ 人通口の補強筋

スリーブ開口の補強筋について

設備配管のためのスリーブ開口や人通口は基礎梁の欠損になるので、補強措置が必要となります。
開口による基礎梁断面が欠損する場合は、欠損した断面で構造検討を行い、適切な補強措置を施しましょう。(参照:小規模建築物基礎設計指針)

また、排水管スリーブが立上り部で2区画連続する箇所は横筋にて補強を行うようにします。

【補強筋について】

  • 全箇所の開口位置や補強筋の位置や形状を目視確認し、補強筋長さが図面通り施工されているか計測する。
  • 基礎立ち上がり部分の換気口は径9㎜以上の補強筋を配置する。
  • 基礎開口・人通口の開口幅は600㎜程度を基本とする。
  • スリーブ開口部で主要な鉄筋を切断した場合は、主筋径 切断区画長さ+80dの補強筋を設置する

アンカーボルトについて

配筋廻りのチェックポイント⑤ アンカーボルト
本数、埋め込み状態、固定状況を自主検査する

配筋工事では、コンクリート打設前にあらかじめアンカーボルトの設置作業を行います。アンカーボルトは鉄筋に結束するか、専用の架台に取り付けて固定します。
設置状況については、かし保険検査の躯体検査対象項目となっていますが、躯体検査での不備の原因は実はこの段階での施工に起因することが多いです。これらの箇所はコンクリートを打設してしまうと見ることが出来ず、不具合があれば基礎部分を壊さなければいけない事態を引き起こしてしまいます。事業者様側の自主検査として、このタイミングを有効に利用し設置状況を慎重に確認していきましょう。

アンカーボルトの種類

アンカーボルトは基礎と土台を緊結するためのアンカーボルトと、地震時などに柱が引き抜かれるのを防ぐためのホールダウン金物用アンカーボルトがあります。設置位置や太さ、埋め込み深さ等は図面通りか確認します。

*アンカーボルトの“ M ”はねじ径を表す。 例)M12 ⇒ 12㎜のねじ径(太さ)

アンカーボルトのチェックポイント

基礎伏図と照合しながら、図面通りの位置に設置されているか、本数は間違いないかを確認します。
埋め込み長さの確認や型枠にしっかり固定されているか、一部抜き取り検査を行うのもよいでしょう。

アンカーボルトは住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書によると

  • 筋かいを設けた耐力壁両端の柱下部で近接した位置
    (ホールダウン金物用アンカーボルトがある部分は省略可)
  • 構造用合板を張った耐力壁両端の柱下部で近接した位置
    (ホールダウン金物用アンカーボルトがある部分は省略可)
  • 土台切れの箇所、土台継手及び土台仕口箇所の上木端部
  • 上記以外の部分は、2階建て以下は間隔2.7m以内、3階建ては間隔2m以内

に設置することとされています。

設置状態は垂直であることが重要で、基準値を超えた傾きや曲がりがある場合はやり直しをすることも必要です。
また、土台の中心からズレてアンカーボルトが設置されていると、水平力が加わった時に土台が破壊される可能性もあります。
アンカークリップなどで鉄筋に固定し、サポート治具で位置決めをすれば、コンクリートを流し込んだ時にズレることなくアンカーボルトが配置ができます。

なお、土台とアンカーボルトのズレに関する許容誤差は土台幅の中央3分の1範囲以内にアンカーボルトの芯を収めるようにしたいものです。

ホールダウン金物用アンカーボルトのチェックポイント

ホールダウン金物用アンカーボルトは仕様書通りのサイズで図面通りの本数が設置されているかを目視確認しましょう。さらに、通り芯からの距離を計測し図面通りの位置に設置されているかもチェックします。
図面の指定よりも設置本数が少ない場合は、建物の構造に影響が出るため要検討事項となります。

ホールダウン金物用アンカーボルトは、建物の階数に関わらず、原則として建築基準法・建設省告示1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」の表に従って取り付けなければなりません。
特に2階建てで、1階2階とも出隅となる柱部分には原則としてホールダウン金物用アンカーボルトの設置が求められます。
(ただしN値計算や構造計算を行った場合は、その計算結果に基づいて取り付けを検討します。なお、木造3階建てでは必ず建築基準法・令第81条から99条に基づく構造計算を行い、必要なホールダウン金物用アンカーボルトの強度を求める必要があります)

■ 建築基準法・建設省告示1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」抜粋

ホールダウン金物用アンカーボルトについては、この後のかし保険の躯体検査の時点でよく指摘される問題点として、「ホールダウン金物用アンカーボルトと筋かいとの干渉」があります。
柱は断面積の1/3まで、切り欠きが許されていますが筋かいは一切欠いてはいけません。(建築基準法施行令43条,45条)
筋かいに欠き込みがある場合は、躯体検査で不適合となります。

このようなトラブルを防ぐために、是非このタイミングで、躯体工事での筋かいの位置を考慮した設置状態であるか、しっかりと確認をしてください。

【アンカーボルトについて】

  • 基礎伏図による指定の位置と本数で設置されているかを確認する。
  • 木造住宅
    土台用のアンカーボルト
    M12またはM16で品質及び性能が明示された良質なものを利用。
    コンクリートの埋め込み長さは250㎜以上とする。ホールダウン金物用アンカーボルト
    柱脚部の短期許容耐力が25kN以下の場合、コンクリートへの埋め込み長さは360㎜以上とする。
  • アンカーボルトの設置誤差は土台幅の中央3分の1範囲以内に収めるようにする。
  • 2階建てで引き抜き力の強くなる1階2階とも出隅になる部分の柱には原則としてホールダウン用アンカーボルトを設置する。

さて、今回はかし保険基礎配筋検査 前後の工事の注意点の後編として、基礎配筋時の開口部廻りの補強筋、アンカーボルトなどについてご説明しました。
繰り返しになりますが、この後の建築工事を円滑に行うための重要な要素が詰まった箇所でもあります。
全体を確認しながら、細部にも気を配る視点を忘れずに工事を進めていきましょう。

では、今日のまとめです。

次回はかし保険 躯体工事検査時での注意点についてご説明いたします。

どうぞお楽しみに♪


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2024年10月16日
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