建築工事においては、かし保険の検査以外の部分で、チェックミスや手違いが後々に大きな問題となることがあります。
また、基礎配筋検査前後の作業は、その先の建築工事で重要な要素を担う部分が集中しています。
今回は、事業者様がこのタイミングでしっかりとチェックしなければいけない項目についてご説明していきます。
工事全体を通しての注意点
設計図の精度を常に保つこと
今更ではありますが、すべての打ち合わせの情報などは必ず基本となる設計図での一元管理が必要です。
設計変更が何度も発生したのにそれが図面に反映されておらず、現場の担当者に伝わらなかったため、手戻りが発生してしまうことがよくあります。
“ 手元にある図面が最新のものであるか ” かつ “ 工事監理者や施主の確認印があるものかどうか ” を常に確認しましょう。
また、現場での変更事項も必ず図面に反映させましょう。
工事のよりどころとなる設計図の精度を保つことは、スムーズな工事進捗の第一歩です。
地縄張り(縄張り)および遣り方のチェックポイント
建物配置や高さ測定はダブル・トリプルチェックで慎重に
あとから考えると「なんで?」と思うことも多いですが、意外によくあるケースとして
建物の『配置』や『高さ』の測り間違い
が挙げられます。
隣地の杭を建設地の杭と勘違いしたとか、境界プレートを読み違えた、また測量時からベンチマークが変わったなど、理由はいろいろあります。
工事着工の第一段階は、工事監理者や施主立会のもと建設地に建物の地縄を張って、全体配置や車庫の寸法などの確認を行うことから始まります。
建設地が図面と整合していない場合や杭が無く境界が曖昧な場合は、設計者や工事監理者等に確認してから、工事を進めていくことが必要です。
また、現場で変更した項目は必ず記録に残しておきましょう。
この作業は後の工事の重要な基盤となります。
複数の担当者でのチェック体制を常に心がけたいものです。
地業工事:根切り・防湿フィルム・捨てコンクリートのチェックポイント
根切り(掘り方)のチェックポイント
実際の地盤の状況を再確認する
根切り(掘り方)では、根切りの深さや幅が図面通りになっているかが基本的な確認事項です。
また、地盤調査結果は敷地内数ヶ所のものとなりますが、根切りをした際には、実際の地盤の固さや地質を広範囲に確認することができます。
さらに、ランマーでの転圧時に、地盤が十分に締め固めされているかも合わせてチェックしておきましょう。
防湿フィルム・捨てコンクリートのチェックポイント
防湿フィルムについて
ベタ基礎の場合は、基礎の底盤部分(コンクリート)自体に防湿効果がありますが、布基礎の場合は防湿フィルムが必要になります。
欠損や重ね代不足がないか、慎重にチェックしましょう。
捨てコンクリートについて
捨てコンクリート(略称:捨てコン)とは、地業の後に基礎の位置を正確に墨出しする目的と型枠を固定する事を目的に施されるものです。
その後の基礎工事を適切に行うための補助的な役割を持つのみで、構造的な役目はなく、省略されることもあります。
捨てコンがある場合は、水平に打設できているかを確認しましょう。
【防湿フィルム・捨てコンクリートのチェックポイント】
- 欠損箇所の有無、重ね代を確認する。
→ 防湿フィルムの欠損はテープでふさぐ。
防湿フィルムt≧0.1mm 重ね代≧150mm - 捨てコンクリート上端の水平精度を計測確認する。
さてここまでは、かし保険の検査対象ではないですが、建築工事を滞りなく進めていくための注意事項についてご説明してきました。
続けて、かし保険の “ 基礎配筋検査で確認される重要な項目 ” について見ていきましょう。