地盤改良・地盤補強の考え方
地盤改良と地盤補強
軟弱な地盤を杭など人工的な手を加えて補強することを地盤補強、土の性質を改良し住宅の基礎を設置しやすく安定性の高い状況にすることを地盤改良といいます。
戸建住宅によく使われる工法は大きく3つの種類があります。
- 浅層混合処理工法(表層改良)
- 深層混合処理工法(柱状改良)
- 小口径鋼管杭工法
それぞれの特徴
○ 浅層混合処理工法(表層改良)
○ 深層混合処理工法(柱状改良)
○ 小口径鋼管杭工法
地盤改良・補強工事の問題点と新しい工法
上記3つの改良・補強工事は現在も多用されていますが、問題点も指摘されています。
地盤改良・補強工事の問題点
◎ 環境汚染問題
セメント系固化材を使用した地盤改良で人体や環境に悪影響を及ぼす可能性のある、発ガン性物質「六価クロム」の発生が懸念されている(2003年2月土壌汚染対策法施行)。「六価クロム」が発生してしまったら、土地の所有者が汚染物質の浄化義務を負うと共に、その土地に住む人の健康の侵害や、汚染物質が近隣の田や畑に悪影響を及ぼす恐れもある
◎ 産業廃棄物問題
住宅の建て替え時や、土地購入時に以前行ったセメント系柱状杭や鋼管杭などの残骸が地中に残っていると、産業廃棄物となり土地評価額が減額となる可能性も
これらの問題に対処するため、新しい地盤改良・補強工法が開発されています。
○ 地盤改良工法の新工法
柱状改良の使用固化材を再考し、環境に優しい素材を使って改良する工法です。
- 砕石パイル工法:天然砕石を使用した柱状改良
○ 地盤補強工事の新工法 (パイル工法)
パイル工法とは、環境面と廃棄時の処理を考慮し、鋼管以外の杭を使って補強する工法です。
- 場所打ち杭工法:掘削後、セメントミルクで杭を形成する工法
- 木質系杭工法:防腐処理した木質系の杭を使用
- コンクリートパイル工法:摩擦力を高めた特殊な断面形状のコンクリート杭を使用
○ 場所打ち杭工法(ピュアパイル工法)
○ 木質系杭工法(環境パイル工法)
○ コンクリートパイル工法
(H型PCパイル工法)
○ コンクリートパイル工法
(オチTS工法)
〇 地盤補強工事の新工法 (鋼管杭工法)
地盤補強・杭工法では狭小地や腐植土地域など、従来の鋼管杭工法では対応できなかった地盤に対して新しい工法が開発されています。
○ パイルド・ラフト工法(RES-P工法)
○ ハイブリッド工法(タイガーパイル工法)
○ ハイブリッド工法(しん兵衛工法)
六価クロムや産業廃棄物を出してしまってはまずい。
住まう人のために環境保全にも気を配る必要があるな。
さらに狭小地や腐植土地域でも対応できる鋼管杭工法の
バリエーションは住宅建設の大きな力になる。
さて、これまで見てきた工法をまとめてみよう。
〇 地盤改良・補強工事の考え方まとめ
【地盤工法:出典・資料協力】
工法名 | 会社名 |
砕石パイル工法(エコジオ工法) | エコジオ工法協会 |
場所打ち杭工法 | ピュアパイル工法普及振興会 |
木質系杭工法 | 兼松サステック株式会社 |
コンクリートパイル工法(H型PCパイル工法) | ランデス株式会社 |
コンクリートパイル工法(オチTS工法) | 越智建設株式会社 |
パイルド・ラフト工法(RES-P工法) | 株式会社設計室ソイル |
ハイブリッド工法(タイガーパイル工法) | 株式会社トラバース |
ハイブリッド工法(しん兵衛工法) | 地研テクノ株式会社 |
すごいなあ!
増えていくのはとてもありがたいことだ。
しかし地盤はあくまでも建築物を建てるための
下地づくりだから改良や補強に闇雲に費用が掛かったり、
工事期間が長すぎてもまずい。
新しい工法は環境面の問題点を解決するだけでなく、
コストや作業方法、効率にもかなり配慮しているんだ。
よし、新しい工法を大まかに把握したところで
今度はSWS試験等の結果からの地盤判定に進んでいこう。