地盤調査について
地盤調査の目的とは対象となる敷地の地盤状態を調べ、適切な基礎仕様・地盤補強の選定を行うことです。それには以下の3つのステップで検証を行います。
今回はまず事前調査について確認していきましょう。
事前調査(ペーパーロケーション)とは
事前調査(ペーパーロケーション)とは対象となる敷地の地形や地質に関する資料を収集し、地盤の状況や問題点を整理し、次の現地調査への課題を見つけ出す目的があります。
この段階でできるだけ多くの資料に当たり、対象とする敷地周辺の地形や地質、変遷等をしっかりチェックすることが大切です。
■ 事前調査のポイント
A:地質の確認
地盤は長い歴史を経て形成されています。地質は時代区分として1.8~2万年前までの沖積層(完新世)とそれ以前の洪積層(更新世)に分けられ、沖積層(完新世)の堆積物の堆積物は土質の区分により粘性土、砂質土、礫質土等に分類されます。
地質図は「表土の下にどのような種類の石や地層がどのように分布しているか」を示した地図のことで、石や地層の構成状況に加え断層なども表現されています。地層は長い年月をかけて層状に形成されていき、一番上が最も新しいものとなりますが、実際は規則正しく層状になっておらず、地殻変動等により片側だけ厚かったり、貫入岩や断層のように、場合によっては新しいものが下層にくることもあります。地質図はその土地の長い歴史の流れがわかり、そこから将来の予想もある程度可能となる資料です。その土地の姿を大づかみで確認するのに最適なものといえるでしょう。
■ 地質図の例
Web上で調査したい場所をクリックすると石の種類や地層の時代が表示されます。
B:地形の確認
地形は、地質図に加え、その場所の土地の自然条件や道路・鉄道等利用状況のわかる資料で確認をしていきます。場所によって様々な資料がありますが、よく使うものとしては下記が挙げられます。
- 地形図
土地の高低や起伏、水系、植生、土地利用、集落、道路、鉄道を表したもの。
1/2.5万、1/5万地形図がある - 旧版地形図
土地改変が進む自然の地形を示していることが多く、その地形のもともとの姿を判定するのに役立つ。大正末期~明治時代前後の100~150年前ぐらいの図。
新版・旧版地形図が両方が一度に参照できます。
- 土地条件図
地盤のロケーションを確認する資料。防災対策や土地利用などに必要な土地の自然条件を明らかにしており、主に地形分類について示したもの。 - 治水地形分類図
治水対策を進めることを目的に国が管理する河川の流域のうち、主に平野部を対象として地形分類や河川工作物を示したもの。
C:その土地の変遷の確認
対象となる土地のこれまでの利用状況や周辺のボーリングデータ、またハザードマップを参照すると、地形や土地利用や敷地近辺の土質分布状況、都市化の変遷や災害の状況がわかり自然地形の判断等に役立てることができます。
- 空中写真
空中写真は林野庁や国土地理院、終戦直後の米軍が撮影したものがある。昭和22年(1947年)ごろから現在まで、数年おきに繰り返し撮影されている。
上記資料は、国土地理院ホームページで見ることができます。
- 地盤図
既存のボーリングデータをまとめたもの。多数の機関が作成している。建設地近辺の土質分布状況が概ね把握できる。
上図は、国土交通省が運営している国土地盤検索サイト『Kunijiban』 です。
住所地の近くにある赤い点が既存ボーリング調査場所です。左クリックすると、柱状図や詳しい検査データへのリンクもあって便利。
さらに地図のオーバーレイをシームレス地形図にし、目的地をクリックすると前述した地質情報を確認することができます。
- ハザードマップ
国や地方公共団体の公開情報。洪水や土地災害などの履歴を確認できる。
D:現在の状況の確認
ここまで既存の資料をチェックしたら、現地調査の前にその土地の現在の状況を見る方法として『Google Earth』が便利です。ストリートビューを使って、周辺をぐるぐると回ってみるとよいでしょう。
以下の点に注意してみると、よりそのエリアの土地の状況を把握できます。
- 周辺の道路の状況
波打っている、亀裂が走っているかどうか確認 - 周辺の建物の状況
外壁の亀裂や傾きなどを確認 - 周辺の工作物の状況
電柱が垂直に立っているか、塀や生垣が傾いていないか確認