説明を行った後に計画変更が生じた場合の対応
この制度は建築士から建築主に対して、設計する建物の省エネ性能等について説明を行うことを通じて建築主の行動変容を促すことをねらいとした制度です。そのため説明を行った後、設計変更が生じるたびに改めて評価・説明を行う必要はありません。
ただし、当初の説明において省エネ基準に適合していると説明していたものが、設計変更により省エネ基準に適合しなくなる場合も含め、基本的には再度説明を行う方が良いと思います。
法令違反となる恐れのある説明方法
- 評価・説明を行わない。
- 一般的には希望しない方が多いと説明するなど、恣意的に評価や説明を実施しない方向に誘導する。
- 建築士の責任において評価を行わない(建築士以外の主体が評価を行っている)。
- 設計・施工・契約等に関する多様な他の書面とあわせて説明書面を交付するのみで、特筆して説明を行わない。
- 省エネ基準に不適合の場合に、省エネ性能を高めるための措置について、具体的な説明がない。
- 建築士が省エネの必要性や効果に関する情報提供を行わず、省エネ性能を向上させることでコストが増加するとだけ説明する。
もし建築士から省エネの必要性や効果の情報提供が行われていれば適合させることを検討していたなど、後にトラブルにつながることも想定されますので、十分にご注意ください。
最後に
2021年4月以降は、省エネ基準に適合できる住宅を設計・建築できない建築士は業界から退場しなければならないくらいに考えておいた方が良いと思います。
既に対応済みの建築士が圧倒的多数であると思いますが、まだまだ意識の低い建築士も一定程度いるような気もしており、混乱するのは想像が付きます。
当社は住宅瑕疵担保責任保険法人であると同時に住宅性能評価機関や適合証明検査機関でもありますので省エネ基準に関してはプロの建築士が在籍しています。しかしながら皆様一人一人にレクチャーできるほど力のあるボランティア団体ではありませんので、4月までに建築士の皆さんはしっかりと勉強して対応してくださいね。
〔 筆者:ハウスジーメン 取締役 道下佳紀 〕