いまや一般のお客様でもご存知の方が多くなったZEH(ゼッチ)ですが、実は一度も取り組んだことのない住宅事業者様も未だ多くいらっしゃるのが実態ではないでしょうか。
毎年補助事業が行われていますので仕組みはご存知かもしれませんが、原則として太陽光発電などの再エネルギーを導入して一次エネルギーの収支をゼロにするというのがZEHの基本となります。
さらに断熱性能も省エネ基準より高く設定されており、それに掛かるイニシャルコストも当然増えますのでエコで良いとは思いつつも…中々取り組めないという声も聞こえてきそうです。
3年後の2025年には省エネ基準の義務化へ向けた法改正の閣議決定、法整備が進められておりますが、昨今の世界情勢からエネルギー問題は脱炭素の前に現実的な光熱費高騰として、家計を圧迫する恐れが強まっています。
電気代が2倍、3倍になるようであれば、もはや住宅の省エネ化は喫緊の課題であるともいえる状態で、建材や住宅設備機器の値上げも相次ぐ中、適正に価格転嫁するためにもZEHに取組むのは新築住宅を供給する住宅事業者様にとって避けて通れない道ではないでしょうか。
さて、前置きはこれくらいにして今回は【ざっくり学ぶZEHの基本】と称して解説も省エネにしてお伝えしたいと思います。
※本記事は戸建て住宅のみで集合住宅のZEH-M(ゼッチマンション)には触れませんので予めご了承ください。
ZEHって何?
簡単にいうと「断熱性能を向上」させ、「高効率な設備」を導入、「太陽光発電」でエネルギー収支をゼロにした住宅で下図のようなイメージです。
【豆知識】
国は、これまで「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上でZEHの実現を目指す」という目標の達成に向け、「ZEHロードマップ」に基づき普及に向けた取り組みを行ってきました。
結果、2020年のハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては、約56%がZEHとなっているようです。
更に「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という目標も掲げられております。
2016年度より、ZEHが占める割合を2020年までに50%以上とする目標を宣言・公表したハウスメーカー、工務店、建築設計事務所等を「ZEHビルダー」として登録してきました。2021年度からは、2030年目標の達成に向けて、2020年度のZEHの供給実績に応じて、ZEH化率が50%を超えている場合は75%以上を、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として、新たな「ZEHビルダー」制度の運用が開始されております。
2022年3月現在、全国のハウスメーカー、工務店を中心に4,722社がZEHビルダー登録を行っています。
全国の建設事業者は約19,000社ありますので約1/4の建設事業者という状況です。
ZEHの種類(区分)は色々ある
一言でZEHと呼んでいますが、いくつか種類があります。
- ZEH
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から20%削減、
再生可能エネルギーで100%賄う。 - Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から20%削減、再生可能エネルギーで75%賄う。
寒冷地や低日射、多雪地域用で、ほとんどZEHというタイプです。 - ZEH Oriented(ゼッチオリエンティッド)
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から20%削減、再生可能エネルギーを加味しない。
都市部狭小地、多雪地域用で、ZEH指向というタイプです。 - ZEH+(ゼッチプラス)
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から25%削減、再生可能エネルギーで100%賄う。 - Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から25%削減、再生可能エネルギーで75%賄う。
寒冷地や低日射、多雪地域用で、ほとんどZEH+というタイプです。 - 次世代ZEH+(ジセダイゼッチプラス)
強化外皮基準で一次エネルギー消費量を省エネ基準から25%削減、再生可能エネルギーで100%賄い、
かつ以下のいずれかを導入。
①V2H設備 ②蓄電システム ③燃料電池 ④太陽熱利用温水システム
図にまとめるとこんな感じです。
ZEHのメリット
取り敢えず戸建のZEHに関する知識はご理解いただけたと思いますので、メリットを簡単に紹介します。
2.快適・健康性
高断熱の家は、効率的に室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れ、結露やカビの発生を抑えると共に、冬の急激な温度変化によるヒートショック等の事故を防ぐ効果もあります。
3.レジリエンス
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気が使うことができ、非常時でも安心な生活を送ることができます。
さらに次世代ZEH+にあるようにV2H設備を導入すれば車に蓄電して電気を使うこともできます。
では、【ざっくり学ぶ】ですからこのくらいにしておきます。2022年度のZEH関連の補助事業を活用し、実物件でチャレンジしてみてください。補助事業は経済産業省・国土交通省・環境省の3省連携で実施されています。
● こちらのチラシにまとめて載っていますので参照ください。
● 省エネ計算の仕方がわからない。という方はこちらを参照ください。
※ ライブラリー > 計算方法の解説 > 戸建て住宅等における計算方法
● 本記事は、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイトの情報を利用しています。
さらに詳しくZEHを知りたい方は是非こちらをご覧ください。