建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度
「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」が開始され、市町村が太陽光発電設備など再生可能エネルギー利用設備の設置を促進すべき区域等を促進計画として定めることで、当該区域内での新築等の際に建築士から建築主に対する再生可能エネルギー利用設備に係る説明義務を課すとともに、容積率・高さ制限などの建築物の形態規制の特例許可を可能とするものです。
促進区域内の適用措置
本制度における促進計画の作成等、実施主体は市町村となります。
- ■ 市町村の努力義務:
市町村は、促進区域内の建築物への再エネ利用設備設置を促進するため、建築主に対して、再エネ利用設備の設置について、情報提供や助言、その他の設置の動機付けとなる支援に努めることが求められます。 - ■ 建築主の努力義務:
促進区域内で建築物の建築を行う建築主は、建築物への再エネ利用設備の設置に努めることが求められます。 - ■ 建築士の説明義務:
建築士は、促進区域内において、市町村の条例で定める用途・規模の建築物について設計の委託を受けた場合には、建築主から説明を要しない旨の意思の表明があった場合を除いて、当該建築物へ設置することができる再エネ利用設備に係る一定の事項について、建築主に対する説明義務が課せられます。 - ■ 形態規制の特例許可:
容積率、建蔽率、高さの規定に特例許可を設け、再エネ利用設備を設置しやすくします。
対象となる再エネ設備
再生可能エネルギー源を 電気に変換する設備及び その附属設備 | 太陽光 |
風力 | |
水力 | |
地熱 | |
バイオマス | |
再生可能エネルギー源を 熱源とする熱を利用する ための設備 | 地熱 |
太陽熱 | |
雪又は氷その他の自然界に存する熱 (大気中の熱及び前出の地熱・太陽熱を除く) | |
バイオマス |
設置場所
建築物に構造上設置されているもののほか、建築物の敷地内に設置され、設備系統が建築物と接続されているものを含みます。
建築士から建築主への説明内容
設計に係る建築物に設置することができる再エネ利用設備の「設備の種類(例:太陽光発電設備)」及び「設備の規模(例:太陽光発電設備のシステム容量(単位:キロワット))」と設備導入の意義やメリット、設置により生じる費用等について、建築主が建築士から情報提供を受けることにより、設備の設置が促進されると考えられます。これらの事項については、説明に係る建築士の負担等を考慮して予め市町村が一般的な情報を元に情報提供用のリーフレットを作成・提供することとしています。
説明の方法とタイミング
建築士が説明書面を作成し、建築主に交付した上で説明します。
▼ 説明書面の参考様式はこちら
建築士からの説明は大きく下記の STEP1、STEP2 の二つに分類されます。それぞれ別のタイミングで行う場合と、同時に行う場合が考えられますが、いずれの場合も着工までに説明することとしています。
- STEP1
本制度に関する情報提供を行い、設置する再エネ利用設備に関する説明の要否について建築主に確認するとともに、設計に係る建築物への再エネ利用設備の設置に関する建築主の意向を確認する。 - STEP2
当該建築物に設置する再エネ利用設備の種類及び規模について説明する。
※STEP1 で建築主から説明不要の意思表示があった場合、STEP2 は実施しない
※STEP2の説明後、設計変更により説明内容に変更が生じた場合は、情報提供を行うことが望ましい。
詳細は、国土交通省の特設サイトをご覧ください。
まとめ
改正建築物省エネ法の2年以内施行分として2024年4月に予定しております2つの制度について解説しました。
- 販売・賃貸時に省エネ性能の表示を求める「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」
- 「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」による当該区域内での新築等の際に建築士から建築主に対する再生可能エネルギー利用設備に係る説明義務
2025年の省エネ義務化に向けてどんどん複雑化してきております。本記事で概要をつかんでいただき、ガイドラインを確認して対応が遅れないように準備してください。
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