柱の柱頭・柱脚の接合方法
柱の接合方法の選択根拠について
地震などの水平力を受ける時、筋かい端部や、耐力壁の両端の柱の柱頭・柱脚に大きな引き抜き力が発生します。そのため、この部分の接合方法は、規定の仕様を用いるか、計算による検討が必要です。接合方法は以下の3つの方法から選択します。告示の仕様規定は計算が不要で、最も簡単な方法です。N 値計算法や許容応力度計算法は設計した住宅に見合う接合方法を選択することができます。
【接合方法の選択根拠】
- 告示仕様規定:
平成12年建設省告示第1460号に定められた仕様を選択する方法 - N値計算法:
以下3項目からなる式で導く方法- 柱の両側の壁の壁倍率の差
- 床や床などの周辺部材の押さえ効果を表す係数
- 鉛直荷重の押さえ効果を表す係数
- 許容応力度計算法:
「荷重」に対する建築物の安全性において、建築物全体や個々の部材が安全か危険かを判断する根拠となる計算を行う方法
告示仕様規定(平成12年建設省告示第1460号抜粋)
金物の種類について
接合金物は、性能および品質が明らかなものを選択することが重要です。文部科学省のホームページでも確認できる『木造建築工事標準仕様書』では、「(公財)日本住宅・木材技術センター接合金物規格(Z マーク表示金物)によるもの、またはこれらと同等以上の性能を有し監督職員の承諾を受けたもの。」と表示されています。
Zマーク表示金物
Zマーク表示金物は、(公財)日本住宅・木材技術センターが定める接合金物規格について承認したもので、平成12年建設省告示第1460号で規定された接合金物仕様はこのZマーク表示金物をモデルに定められています。工法によりMマークやCマークなど分類されています。
金物の種類と用途
柱まわりのチェックポイント④
- 柱頭・柱脚の接合方法は告示仕様規定や計算法で選択し
必ず品質と性能の明示のある金物を使用する
金物の接合状況について
金物の接合状況については、設計図書に基づき、指定箇所に製造メーカーの施工基準に準じた指定の金物(品番・ビス本数)が施工されているか、不具合(隙間・キズ・割れ等)箇所がないかを確認します。
もし設計図書に金物表記がない場合は建築基準法施行令に準じて施工がされているかを確認しましょう。
検査項目:「柱頭・柱脚金物 金物等の種類・設置状況・選択根拠」で不適合となる施工状況
柱まわりのチェックポイント⑤
- 指定の金物が正しく施工されているか
さて、今回はかし保険躯体検査 前後の工事の注意点・Ⅱ(柱・金物)について確認してきました。躯体検査ではこの後もさらに重要な箇所の確認が続きます。引き続きしっかりと確認していきましょう。
では今回のまとめです。
次回はかし保険躯体検査 前後の工事の注意点・Ⅲ 耐力壁についてご説明します。
どうぞお楽しみに。